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South Pole Net zero report 2024 PR
17 1月 2024

環境目標について公表を控える企業の増加:セクター別調査の結果

プレスリリース
South Pole

South Pole's Net Zero Report 2023/2024 の結果:

  • 調査対象企業の主要14セクターのうち9セクターで、気候変動対策に関するコミュニケーションが意図的に減少していることが明らかになった
  • 調査対象企業の81%がネットゼロへの取り組みが収益にプラスになると認識している一方、44%近くが不明な点や頻繁な規制の変更により、気候変動対策のコミュニケーションが以前よりも困難になっていると感じていると回答した。
  • 市場の需要に応えることに並んで、企業のネット・ゼロを推進する要因の上位を占めたのは、リスク管理とレジリエンス構築であり、調査対象企業全体の39%が、サプライチェーンリスクの監視強化の必要性をあげ、次に外的要因に対する体制強化(37%)があげられた

チューリッヒ(2024年1月17 – South Poleが本日発表した2023年版のNet Zero Reportによると、調査対象となった14の主要セクターのうち10セクターの大半の企業が、気候変動対策に関するコミュニケーションを意図的に減らしていることが明らかになった。

本レポートは、サステナビリティ担当役員を設置している12カ国と14セクターにまたがる1,400 社を超える企業を調査したもので、気候変動への戦略や目標を公表せず、意図的に対外的なコミュニケーションを抑制、あるいは中止することを選択した企業について詳しく考察している。

South Poleが調査を委託した英国の調査会社Sapioによると、ファッション、テクノロジー、日用消費財(FMCG)に至るまで、グリーンハッシングのトレンドが世界中のほぼすべての主要セクターに存在することを、今回の報告書で初めて確認できた。

調査対象企業のほとんど(81%)は、ネットゼロの取り組みについてのコミュニケーションが利益につながることを理解しているものの、半数以上(58%)は気候変動対策を伝えることが以前よりも難しくなっていると感じており、対外コミュニケーションを意図的に抑制することを計画していると回答している。

多くの企業は気候変動目標を公表することの価値と、実際に実行することの間に明らかな断絶があることを示している。

調査結果からはこの断絶をさらに強調する要素も伺える。

調査対象企業の半数近く(46%)は、顧客の需要に応えるためだけでなく、サプライチェーン全体のリスク管理を改善するためにもネットゼロを追求していると回答している(39%)。このことからも、企業はネットゼロの目標を立てることは商業的成功に重要だと考えていることが明らかである。

あらゆるセクターは、排出削減やサステナビリティに関するコンプライアンスへの対応を迫られる新たな時代に間もなく直面する、あるいはすでに直面しており、このような環境政策の変化が、企業が「グリーンハッシング」に走る大きな要因の一つとしている。

今回の調査では、多くの企業がこの新たなコンプライアンスの世界に適応するのに非常に苦労しており、自社の気候変動戦略や目標を自身を持って伝えられないことが示唆されている。

投資家からの厳格な審査への恐れもグリーンハッシングの原因の一つであり、特に環境サービス企業と石油・ガス企業(それぞれの内51%と57%)でこの傾向が顕著である。

これは投資家からの圧力や短期的な財務目標が、長期的な気候変動対策を阻害している可能性を示唆している

一方、小売、ファッション、テクノロジー、消費財、運輸など、他のほとんどのセクターでは、「規制要件」や「ベストプラクティスのガイダンス不足」などが主な理由として挙げている。

驚くことに、企業の気候変動対策に関する主張の状況は急速に変化し、ますます規制が厳しくなっているにもかかわらず、調査対象となった全企業の大多数は、依然として"クライメイトニュートラル"を掲げることが「目的に適っている」と判断していると回答した。

South Poleのコメント

John Davis、South Poleの暫定CEOは次のコメントを述べています:「当社の最新のNet Zero Reportで明らかになったのは、企業の気候変動対策とそれに関連するコミュニケーションに継続的かつ深化しつつある矛盾です。グローバル企業の大半も、公表すべき目標を示さず、まったく何もしていません。」

「この調査結果は、規制強化前の企業の「沈黙」を示唆している可能性もあります。規制の強化に伴い、すべての企業が気候への影響とネットゼロ目標の進捗状況を明確にすることが不可避となるでしょう。企業の気候変動対策が成熟に向かう中、ビジネスリーダーがこの重要な時に立ち向かい、進捗状況と課題を率直に共有することが求められます。」

South Poleの気候戦略担当シニア・ディレクターであるFranziska Sinner氏はこう述べています:
「最新の調査では、調査対象企業の多くが2030年までという極めて楽観的な目標を設定しており、非現実的なネット・ゼロ・ターゲットに取り組んでいることが示されました。

科学的根拠に基づく目標を設定されている企業は多いようですが、企業はSBTiがスコープ3のバリューチェーン排出量について協調的な行動を求めていることを意識し、積極的に準備しておくことが重要です。」

編集者への注記

  • 4年目を迎えるSouth Poleの最新のNet Zero Reportは、直接の意思決定権限を持つ1,400人のグローバルサステナビリティ担当役員からのインサイトをまとめたものです。気候変動に対して比較的意識の高い企業のサンプルで構成され、コーポレートアクションの複雑な環境とその変化を理解するための貴重な窓を提供します
  • グリーンハッシングの蔓延が確認されたものの、今回の調査では調査対象となった企業が依然としてネットゼロへ取り組んでおり、バリューチェーンを超えた環境投資をしていることが示されています。気候変動に意識的な調査対象企業は、引き続きネット・ゼロ・ターゲットを設定し(83%)、大半はバリューチェーンを超えた環境投資を行っており(81%)、4分の3以上(76%)はネットゼロ目標を達成するために予算を増やしていると回答した。また、大半は目標達成に向けて「順調に進んでいる」と回答(81%、2022年の67%から上昇)。
  • 調査対象となった企業の大多数が、ネット・ゼロ・ターゲットの実際の達成は「予想通り難しい」(45%) と感じており、さらに4分の1近くは「以前より達成しやすくなった」(23%) と回答した。興味深いことに、石油・ガス関係企業の53%が、ネット・ゼロ・ターゲットの達成は「予想通り難しい」と述べた。
  • ネット・ゼロ・ターゲットを促進する最も大きなドライバーだった「市場や顧客の要求に答えるため」(46%)に加え、調査対象企業全体の39%が、「サプライチェーンのリスクをよりよく監視するため」と挙げた。続いて、「外部からの衝撃に備えるための組織体制強化」がその次に目立った(37%)。
  • 調査結果の背景を明らかにするために、South Poleはレポート全体にわたって専門家による分析を行い、自社のデータベースに含まれるグローバルフォーチュン500、主要な株価指数の構成銘柄、CDPおよびGRIのすべての報告企業を含む77,000社を分析した。これらの企業を調査対象企業1,400社のいわゆる「気候変動対策に意識的な」集団と比較すると、ネットゼロの目標を設定している企業はわずか8%であり、調査対象企業と比較して75%も少ない。またその8%のうち、SBTsに認証されているのは半数以下(45%)であった。

メディア連絡先

Isabel Hagbrink, Senior Director of Global Communications, South Pole - i.hagbrink@southpole.com

South Pole’s Net Zero Report 2023/2024
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South Poleについて

サウスポールは、世界経済フォーラムのシュワブ財団によって認められた社会的企業であり、今日では世界有数の気候ソリューションプロバイダーおよび炭素プロジェクト開発企業です。

2006年の設立以来、200カ国以上で約850のプロジェクトを開発し、2億トン以上のCO2排出量を削減するとともに、気候変動に対して特に脆弱な地域社会に社会的利益を提供しています。サウスポールが開発するプロジェクトは、持続可能な農業、森林保全、廃棄物管理、エネルギー効率化、分散型再生可能エネルギーなど多岐にわたります。

またSouth Poleは、ネットゼロを達成するために、何千もの大手企業にサステナビリティに関するコンサルティングを提供しており、世界中の企業、政府、組織が気候変動対策を長期的なビジネスチャンスに変える包括的な戦略を開発および実施しています。

お客様により良いサービスを提供するため、東京の専門家チームが日本のお客様をサポートいたします。詳細は、日本語のホームページ( www.southpole.com/japan)をご覧ください。また、LinkedIn, Twitter, Facebook, Instagramでフォローいただきますと、気候変動に関する最新のアップデートを得ることができます。

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