チューリッヒ(2024年1月17 – South Poleが本日発表した2023年版のNet Zero Reportによると、調査対象となった14の主要セクターのうち10セクターの大半の企業が、気候変動対策に関するコミュニケーションを意図的に減らしていることが明らかになった。
本レポートは、サステナビリティ担当役員を設置している12カ国と14セクターにまたがる1,400 社を超える企業を調査したもので、気候変動への戦略や目標を公表せず、意図的に対外的なコミュニケーションを抑制、あるいは中止することを選択した企業について詳しく考察している。
South Poleが調査を委託した英国の調査会社Sapioによると、ファッション、テクノロジー、日用消費財(FMCG)に至るまで、グリーンハッシングのトレンドが世界中のほぼすべての主要セクターに存在することを、今回の報告書で初めて確認できた。
調査対象企業のほとんど(81%)は、ネットゼロの取り組みについてのコミュニケーションが利益につながることを理解しているものの、半数以上(58%)は気候変動対策を伝えることが以前よりも難しくなっていると感じており、対外コミュニケーションを意図的に抑制することを計画していると回答している。
多くの企業は気候変動目標を公表することの価値と、実際に実行することの間に明らかな断絶があることを示している。
調査結果からはこの断絶をさらに強調する要素も伺える。
調査対象企業の半数近く(46%)は、顧客の需要に応えるためだけでなく、サプライチェーン全体のリスク管理を改善するためにもネットゼロを追求していると回答している(39%)。このことからも、企業はネットゼロの目標を立てることは商業的成功に重要だと考えていることが明らかである。
あらゆるセクターは、排出削減やサステナビリティに関するコンプライアンスへの対応を迫られる新たな時代に間もなく直面する、あるいはすでに直面しており、このような環境政策の変化が、企業が「グリーンハッシング」に走る大きな要因の一つとしている。
今回の調査では、多くの企業がこの新たなコンプライアンスの世界に適応するのに非常に苦労しており、自社の気候変動戦略や目標を自身を持って伝えられないことが示唆されている。
投資家からの厳格な審査への恐れもグリーンハッシングの原因の一つであり、特に環境サービス企業と石油・ガス企業(それぞれの内51%と57%)でこの傾向が顕著である。
これは投資家からの圧力や短期的な財務目標が、長期的な気候変動対策を阻害している可能性を示唆している
一方、小売、ファッション、テクノロジー、消費財、運輸など、他のほとんどのセクターでは、「規制要件」や「ベストプラクティスのガイダンス不足」などが主な理由として挙げている。
驚くことに、企業の気候変動対策に関する主張の状況は急速に変化し、ますます規制が厳しくなっているにもかかわらず、調査対象となった全企業の大多数は、依然として"クライメイトニュートラル"を掲げることが「目的に適っている」と判断していると回答した。
South Poleのコメント
John Davis、South Poleの暫定CEOは次のコメントを述べています:「当社の最新のNet Zero Reportで明らかになったのは、企業の気候変動対策とそれに関連するコミュニケーションに継続的かつ深化しつつある矛盾です。グローバル企業の大半も、公表すべき目標を示さず、まったく何もしていません。」
「この調査結果は、規制強化前の企業の「沈黙」を示唆している可能性もあります。規制の強化に伴い、すべての企業が気候への影響とネットゼロ目標の進捗状況を明確にすることが不可避となるでしょう。企業の気候変動対策が成熟に向かう中、ビジネスリーダーがこの重要な時に立ち向かい、進捗状況と課題を率直に共有することが求められます。」
South Poleの気候戦略担当シニア・ディレクターであるFranziska Sinner氏はこう述べています:
「最新の調査では、調査対象企業の多くが2030年までという極めて楽観的な目標を設定しており、非現実的なネット・ゼロ・ターゲットに取り組んでいることが示されました。
科学的根拠に基づく目標を設定されている企業は多いようですが、企業はSBTiがスコープ3のバリューチェーン排出量について協調的な行動を求めていることを意識し、積極的に準備しておくことが重要です。」
Isabel Hagbrink, Senior Director of Global Communications, South Pole - i.hagbrink@southpole.com
South Poleについて
サウスポールは、世界経済フォーラムのシュワブ財団によって認められた社会的企業であり、今日では世界有数の気候ソリューションプロバイダーおよび炭素プロジェクト開発企業です。
2006年の設立以来、200カ国以上で約850のプロジェクトを開発し、2億トン以上のCO2排出量を削減するとともに、気候変動に対して特に脆弱な地域社会に社会的利益を提供しています。サウスポールが開発するプロジェクトは、持続可能な農業、森林保全、廃棄物管理、エネルギー効率化、分散型再生可能エネルギーなど多岐にわたります。
またSouth Poleは、ネットゼロを達成するために、何千もの大手企業にサステナビリティに関するコンサルティングを提供しており、世界中の企業、政府、組織が気候変動対策を長期的なビジネスチャンスに変える包括的な戦略を開発および実施しています。
お客様により良いサービスを提供するため、東京の専門家チームが日本のお客様をサポートいたします。詳細は、日本語のホームページ( www.southpole.com/japan)をご覧ください。また、LinkedIn.